花澄匝の自由帳

絵の練習や遊んだゲームの話を書き散らかすブログです。ちなみに、月夜のカタルシスというサークルで友人と同人ゲームを作っています。

クリック型ミステリーADV、シロナガス島への帰還の感想

お絵かき練習ブログにすると言ったな。あれは嘘だ。

ブログの紹介文をしれっと修正したから問題ない。


――ということで、今日は冬コミで新作として発表されたミステリーADV、『シロナガス島への帰還』の感想を書きたいと思います。

お絵かきオンリーだとネタが無いから。

ゲーム序盤のネタバレがあるので、まっさらな状態でプレイしたい方は読まないようお願いします。

 


作者紹介(主観)

twitter.com

シロナガス島への帰還は旅の道(旅の道第三停留所)というサークル制作のクリック式アドベンチャーゲームになります。

 

旅の道の中の人、鬼虫兵庫さんは今作がゲーム初作品ですが(*1)、普段は小説サークルとして長く活動している方です。

 

ゲーム畑の人でも同人誌や攻略本、副読本の類を作ろうとした人なら名前を知っているかもしれません。

 

なんとこの方、過去に市販の文庫本そっくりの同人誌を自分で製本しています。

 

tabinomichi.com↑これです。プリンターと凄まじい気合いがあれば市販品そっくりな本が作れるという画期的かつ衝撃的な記事でした。

 

この凄まじい気合いで完成させた同人誌だけでも、自身の作品や創作に対するこだわりがひしひしと伝わってきますね。

 

このこだわりっぷりはシロナガス島への帰還のパッケージにも反映されていて、

 

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商業ゲームと並べても遜色ない洗練されたパッケージデザインと

 

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中にはゲームの内容を紹介する4ページの漫画が入っています。

 

こういうこだわりって自作品に対する愛情みたいなものが感じられて良いですよね。

 

更に鬼虫兵庫さんはかなりのADVゲーム好きのようで、ブログでは時折ADVゲームの話をされています。

 

中でも面白かったのがルートレター関連の記事なんですが、発売前のイベントに行ったり限定版を買ったりとルートレター愛がマックスです。

tabinomichi.com

ルートレターはあまり良い出来とは言えなかったようですが、システムに対する言及などから鬼虫兵庫さんがADVに対する造詣が深いことがうかがえます。 

あと、純粋にブログの文章が面白いという。

 

そんな作者さんが作ったゲームはどんなゲームなのか。

早速内容についても紹介していきたいと思います。

 

プロローグ

物語は主人公の探偵・池田戦が空港で誰かを待っている所から始まります。

 

このゲームは所々自分で画面をクリックして進める場面があるのですが、ここでも空港内をクリックし待ち合わせの人物を探します。

 

クリックできる場所が色々あって、実際に空港にいるような気分が味わえます。

 

しかし、どこを見てもそれらしき人物は見当たりません。

 そこでふと、空港内の電光掲示板を見てみると……

 

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掲示板の文字が乱れ、何とも不穏な言葉に変わりました。

これが何を意味するのか現時点ではわかりませんが、何とも不気味なメッセージです。

 

しかし、メッセージが表示されたのはほんの一瞬。

すぐに元の離発着案内に戻ります。

 

そして、掲示板から空港内へ視線を戻すと、先程まではいなかったセーラー服の少女と警備員らしき人の姿が。

 

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このゲームのヒロインである出雲崎ねね子の登場です。

 

彼女は二十数ヵ国語をネイティブに話せる天才らしいのですが、極度の人見知りで初対面の相手とはまともに会話できないようです。

迷子のねね子に空港の職員が色々と尋ねていますが、ねね子は「ああ…」とか「うう…」と言葉を返せず涙目になっています。

 

そこで空港職員に事情を話し、ねね子と合流しました。

ちなみに、ここはジョン・F・ケネディ国際空港といって、なんとニューヨークにあります。

ねね子ははるばる日本から、池田を訪ねてアメリカまでやって来たのでした。

 

しかし再会にホッとしたのもつかの間。

すぐに、池田の携帯が鳴ります。

 

電話の相手はエイダ・ヒギンズという女性のようです。

ひどく狼狽えていて、何か大変なことが起こったらしいのですが、電話口では話せないという彼女の屋敷まで出向くことに。

もちろん、ねね子も同行します。

 

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池田は元々エイダから父親の素行調査を依頼されていたのですが、その父親が自殺。

自殺の原因を探して欲しいと改めて依頼されます。

 

――と、ここにきてねね子のすごい特技が判明します。

なんとねね子は一度見たものは一生忘れない完全記憶の持ち主でした。

 

自殺前に撮られていた書斎の写真と現在の書斎を見比べて、本棚の本が動いていることを看破します。

 

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本には遺言状が隠されていました。

 

内容は抽象的過ぎてよくわかりませんが、何か恐ろしいことが起こったことを伺えます。

 

そして、本には遺言状の他にもう一つ、別の手紙が隠されていました。

 

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その内容から池田は父親の自殺の原因がこの手紙にあると判断。

自殺の原因を探るべく池田とねね子はシロナガス島へ向かうことに……。

 

――と、ここまでが序盤の物語になります。

ここまでに3回ほどクリックで調べて進める場面がありますが、どれも適度な難易度で没入感を阻害されることなく進める出来ました。

 

クリアした感想

 まず一言いいたいのは、『没入感が素晴らしかった』という事です。

 

クリックで調べるパートの頻度や組み込み方も良かったのですが、作者さんが小説書きなだけあって文章そのものがとても良かったです。

 

特に好きなのが冒頭の空港とシロナガス島へ向かう船のシーンで、どちらも情緒たっぷりでちょっとした旅行気分が味わえます。

 

また、主人公の探偵・池田もいい味出してました。

アメリカの探偵はライセンス制であり幅広い知識と教養が必要なようで、池田視点の地の文は様々な知的好奇心を満たしてくれます。

読んでいると自分の知らない知識や考え方を沢山見ることが出来て面白いです。

 

あと、他の人達も言っていますがねね子が可愛いかったです。

一人称僕っ子の超絶コミュ障ビビりで天才的頭脳と完全記憶の持ち主、と書くとどんな設定増し増しヒロインだ! となるのですがゲーム内では不思議とマッチしていてむしろどれが欠けていても駄目だ! となります。 

こればっかりはプレイした人にしか伝わらないと思いますが……池田はねね子だから出来る事に何度も助けられる事になります。

特にDEAD ENDでは怖がりなねね子が池田の為に起こした行動が凄いです。

あれを見るとなんとしてでも無事に島を出るんだ! という気になります。

 

最後に

このゲームは随所に伏線が散りばめられていて、序盤以降の内容に触れると何かしらのネタバレになってしまうのですが、とにかく作り込まれていて面白いゲームでした。

最初は普通のミステリーみたいな雰囲気なのですが途中からホラーチックになり、更にとんでもない謎が判明し、色々と大変な目にあいながらもクリア後は大きな達成感と共に前向きな気持ちになれます。

 

半日あればクリアできるボリュームなので、ミステリーや昔のADVが好きな人には是非おすすめしたいゲームです。

 

 

 

------------------------キリトリ------------------------

*1補足

作者紹介で『鬼虫兵庫さんは今作がゲーム初作品ですが』と書きましたが実は、シロナガス島への帰還以前にもゲームを公開されています。

それがこの、『旅の道~7th CASE~』です。

 

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以前作ってたゲームの話 | 旅の道第三停留所

 

主人公はなんと池田!

シロナガス島への帰還をクリアしてもっと池田の活躍を見たいと思った人におすすめの1作です。

 

なお、未完成らしく反応が沢山あったら頑張って完成させるとのこと。

というわけで、皆でDLして応援しましょう!